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特集
知って嬉しい“市民の台所”事情 近江町市場マメ知識

知って嬉しい“市民の台所”事情近江町市場マメ知識

開場300年の大節目を2021年に迎える「近江町市場」は、今の「おみちょ」の略語で愛され続ける“金沢市民の台所”…ですが、近年は「変わってしまった?」との声も聞かれがち。今回はそのあたりの真相も含めて、過去から未来までを“ざっくり”掘り下げてみました。

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市場ならではの新鮮な海鮮丼は、今や金沢観光の大定番に

メインストリートとなる「鮮魚通り」には老舗の鮮魚店も多い

新鮮な加賀野菜も、専門店ならではの品揃えで

町の花屋さんは通りの彩りにアクセントを与える

普段着からお土産シャツまで。服飾雑貨も目白押し

新鮮な地元のフルーツは食後のデザートにも?

市場内のスーパーもグルメの宝庫。家庭用ご当地食のお惣菜やお弁当が

着物レンタルのお店も人気。なにげない近江町散歩がより味わい深く

空き店舗ゼロの奇跡的商店街

 「近江町市場」は、前田利家公が金沢城に入城した約400年前には点在していたという界隈の市場や商店を集約する形で、1721年(享保6年)に誕生しています。
 2015年の北陸新幹線開業頃から「海鮮丼」処なイメージが色濃くなっていますが、その実態は鮮魚の他、能登のブランド肉、加賀野菜、果物、菓子、干物、蒲鉾、豆腐、花や服など、総勢180店舗(空き店舗なし!)から”質のよい”生活アイテムを揃えられる“ザ・地元商店街”なのです。

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昭和の序盤は軒先での青空市場的な賑わいが

昭和20年代後半の写真にはアーケードの前身となる「葭簀(よしず)」の日除けが

本格的にアーケードが設置されたのは昭和31年

アーケードのカラーが緑色へと変わったのは昭和61年。現在はオレンジを基調とした青ストライプ入りのデザインに

「近江町いちば館」が建つ以前の「むさし口」「エムザ口」近辺の風景

武蔵交差点から見た「近江町いちば館」建設前の「むさし口」

商いの最先端であり続けた約300年

 「近江町」の名の由来には、近江(滋賀)国の人が商いを始めたからとの説と、「近江」が名字の弓師がこの地に最初に住んだとの二説が存在しますが、前者が有力とされています。
 現在も一貫して“市民の台所”の立ち位置を堅持していますが、第2次世界大戦の戦災を免れた昭和後期あたりからはレトロな商店街として観光地的な注目も浴びるようになりました。

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「近江町いちば館」は2008年の一部店舗オープンからスタート

新設の広場では、週末音楽イベントなどの賑わいがプラス

アーケードの持ち味を、シックに活かした店舗フロア

「近江町いちば館」ビルの3階から上には立体駐車場が

「近江町いちば館」に直接入れる「武蔵ヶ辻」バス停

平成の大再開発が、令和に繋がる盛況の起爆剤に!

 観光客が増えてきたのは、平成中期(2008年頃)の大再開発を終えたあたりから。アーケードの老朽化と駐車場への対応策として建設された武蔵交差点(エムザ側)に面する複合ビル「近江町いちば館」は、モダンでカジュアルな玄関口からやんわりとレトロなアーケード街にフェードインするタイムスリップ感が賞賛され、商店街再開発の成功事例の象徴として注目を浴びました。

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年末年始は加能ガ二、甲箱ガニも店頭に並び、活況のピークへ

一方で、北陸新幹線開業で観光色に染まったとの噂も?

 日曜営業の店舗も増え、平均歩行者数は北陸新幹線開業直前から比べても1.6倍に!平日2万人、週末祭日3万人、年末年始5万人と、現在は年間トータル700万人が訪れる「近江町市場」ですが、その一方で「地元向け商店街じゃなくなった」的な声もちらほら。
 しかし、商店主らに聞くと「なにも変わっていない」し「これからも変えない」と口を揃えます。その根拠を深堀りするのが、今記事の本題です。

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「近江町市場振興組合」のあるビルのエレベーターの前で

一過性の観光地化に“待った”をかける後継者たち

 お話を伺ったのは「近江町市場振興組合」事務長の江口さんと、同商店街で老舗呉服店とレンタルきもの店を経営する「丸年」代表・吉村さんのお二人です。「変わらない」スタンスについて、マナー表示以外の外国語対応は行わず、地元言葉でのコミュニケーションを取り、観光パフォーマンス的な積極的な値引きもしないなど“観光地化しない”姿勢を明言。
 「お得意様へのこっそりサービスが慣習なので、それを見て不公平とする声も聞きますが、御贔屓さまあっての商店街ですし…といいますか、もともとが地元主婦向けのお手頃価格なので、本来はしたくてもサービスできないんですよ」と2人は笑います。
 ちなみにこれらのスタンスには、観光客にも「お得意様になってほしい」というラブコールが隠れているそうですよ。

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ショッピングカートは地下でつながる「めいてつ・エムザ」と共用。もちろん利用は無料

「親子おみちょ体験」など、近隣の子供たちが商店街に触れる機会も食育事業として展開

新「近江町市場駐車場」の完成予想図※2019年7月現在は建設中

買い物を楽しくするためのプチ改革は続々と

 ただ、「変わらない」とは言いつつも、日常目線での利便性の改善は着実に行われています。「一括会計ができないのが商店街の弱点なので、お財布を開閉する手間ぐらいは解消してあげたい」との思いから、今春からスマホ決済を本格導入したそう。また、商店街の各所にはショッピングカートが設置されており、観光客に向けても「地元の商店街で買い物する感覚を楽しんでほしい」と声をかけます。ちなみに、より駐車しやすい広々レイアウトに生まれ変わる新「近江町市場駐車場」は、目下建設中です。

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彩りも鮮やかなので、いようと思えば丸一日飽きずにいられるとのこと

最も人の出入りが多いという「エムザ口」からメインストリートがはじまります

様々な「出入口」があり、様々な「通り」が張り巡らされているので、それぞれの表情もチェックを

結論=変わらない。それは、歴史を繋ぐ自然体

 「近江町市場」のおススメの楽しみ方を聞くと「対面販売」と明言し、「あとはご自由に(笑)」と続ける江口さん。通りや入口によって個性が異なるので「鮮魚通り」というメインストリート的な存在はあるものの「正面口という概念はありません」ときっぱり。確かに、トータル600メートル程度とコンパクトでありながらも見る角度次第で景色が一変するので、油断すると迷子になるほどに見ごたえアリです。さらに食育事業など未来への投資にも積極的で、さまざまな取り組みを通して現在の活況のはるか先を見据えています。
 長い歴史に納得感しかない「近江町市場」は、この先300年も市民目線の自然体であり続けてくれそうです。

<取材・文・一部写真>橋詰晋也(鼻毛の森)

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